フロー制御


フロー制御とは

通信回線などを介してデータを送受信する際に、送信側と受信側の通信速度を調整することで、データ転送の品質を向上させる技術のことを指す。

通信回線において、データを送信する際には、一定の帯域幅や転送速度がある。この帯域幅を超えたデータを送信すると、通信エラーやパケットの喪失などの問題が発生する。また、データを送信する側と受信する側の通信速度が異なる場合にも、同様の問題が発生する。

フロー制御は、こうした問題を回避するために、通信速度を制御してデータの転送を調整することで、通信品質を向上させる。具体的には、送信側が一定量のデータを送信した後に、一定時間休止するなどして、受信側が処理するための時間を確保する。また、受信側がデータの受信準備ができていない場合には、送信側がデータの送信を一時停止するなどして、データの喪失を防止する。

フロー制御の実装方法

フロー制御には、ハードウェアやソフトウェアによる実装方法がある。

ハードウェアによるフロー制御

ハードウェアによるフロー制御では、ネットワーク機器などに専用の回路を組み込んで、通信速度を制御する。

ソフトウェアによるフロー制御

ソフトウェアによるフロー制御では、通信プロトコルの中にフロー制御の機能を実装することで、通信速度を制御する。

 

フロー制御は、インターネットなどの大規模なネットワークや、LANなどの小規模なネットワークにおいて、データの転送品質を向上させるために使用される。また、フロー制御は、ビデオストリーミングなどの動画配信においても重要な技術であり、動画の再生中に途切れやすさを改善するためにも使用される。

SDNにおけるフロー制御のポイント

プログラム可能なネットワーク

SDNは、ネットワーク全体をソフトウェアによって制御するため、フロー制御のルールを柔軟に変更することができる。これにより、ネットワーク上でのトラフィックの増加や、障害発生時などに、迅速に対応することができる。

フローエントリー

SDNでは、フローエントリーと呼ばれる、フロー制御のためのルールが中央のSDNコントローラーに集中管理される。フローエントリーは、パケットの転送ルールや優先度などの情報を格納しており、SDNスイッチなどのネットワーク機器は、フローエントリーに基づいてパケットを転送する。

OpenFlowプロトコル

SDNでは、OpenFlowプロトコルを使用して、SDNコントローラーとSDNスイッチなどのネットワーク機器間でフローエントリーの情報をやり取りする。OpenFlowプロトコルは、SDNの基盤技術の1つであり、SDNの標準化にも役立っている。

フロータイプ

SDNにおけるフロー制御では、フロータイプに応じたルールを設定することができる。例えば、HTTPトラフィックに対するルールとFTPトラフィックに対するルールを別々に設定することができる。これにより、ネットワーク上で発生する様々なトラフィックに対して、最適なフロー制御が実現できる。

フロー監視

SDNでは、ネットワーク上で発生するトラフィックを監視することができる。これにより、トラフィックの増加や障害が発生した場合に、迅速に対応することができる。

 

以上のように、SDNにおけるフロー制御は、プログラム可能なネットワークによって柔軟かつ効率的なルール設定ができ、フローエントリーやOpenFlowプロトコル、フロータイプに応じたルール設定などが特徴的である。
また、フロー監視によって、ネットワークの問題に対して、早期に対応することができる。
SDNにおけるフロー制御は、効率的なネットワーク運用を実現するための重要な技術の1つとして注目されている。

なお、SDNにおけるフロー制御は、オープンソースのSDNコントローラーソフトウェアであるOpenDaylightや、商用のSDNソリューションで提供されていることが一般的である。これらのソフトウェアを使用することで、ネットワーク上のトラフィックを効率的かつ柔軟に制御することができる。