情報処理安全確保支援士試験の難易度と対策法!合格の秘訣とは?


情報処理安全確保支援士(以下、情報処理支援士)は、情報セキュリティの専門家として活躍するための国家資格です。このコラムでは、情報処理安全確保支援士の資格取得の難易度や、他の資格との違いを解説していきます。

情報処理安全確保支援士とは?

情報処理支援士は、情報セキュリティに関する高度な知識とスキルを有し、情報システムの安全確保やセキュリティ対策を行うことができる専門家です。

情報処理安全確保支援士は情報系唯一の士業

情報処理安全確保支援士は、情報処理分野における唯一の士業として位置づけられています。士業とは、高度な専門知識や技術を要する職業であり、その適格性を国家が認定したものが国家資格になります。情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティに関する専門的な業務を遂行する際に必要な能力と知識を持っており、情報システムのセキュリティを保護する役割を果たします。

情報処理安全確保支援士の業務内容

情報処理安全確保支援士の業務は多岐にわたります。具体的には

  • 情報セキュリティ評価とリスク分析の実施
  • セキュリティポリシーの策定と運用の支援
  • セキュリティ対策の計画立案と実施
  • セキュリティ監査の実施と評価
  • インシデント対応をセキュリティ問題の解決
  • セキュリティ教育とトレーニングの提供
  • 法令や規制へのコンプライアンスの確保
  • システムやネットワークの脆弱性評価と対策
  • セキュリティインシデント調査と報告
  • 新たなセキュリティ技術やトレンドの継続的な調査と導入

などが挙げられます。

情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティに関する専門知識や経験を有し、企業や組織の資産価値を守るための重要な存在です。その役割と責任はますます重要性を増しており、情報セキュリティの専門分野で活躍する専門家として求められています。

情報処理安全確保支援士試験の基本情報

ここでは情報処理安全確保支援士の試験について、基本的な概要と必要手続きを紹介します。

試験時間、出題形式

情報処理安全確保支援士の試験時間は午前と午後の合計4時間にものぼり、出題形式は多肢選択式(四肢択一)と記述式の2つがあります。

  • 午前I試験
試験時間 9:30~10:20(50分)
出題形式 多肢選択式(四肢択一)
出題数・解答数 出題数:30問
解答数:30問

ここではテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3分野で試験問題が展開されています。経営戦略や企業活動やプロジェクトマネジメントなどについて総合的な知識が問われ、情報セキュリティに限定しない、広範囲な問題が出題されるのが特徴です。

  • 午前Ⅱ試験
試験時間 10:50~11:30(40分)
出題形式 多肢選択式(四肢択一)
出題数・解答数 出題数:25問
解答数:25問

情報セキュリティシステムの開発や、情報処理システム等、専門業務におけるセキュリティ管理の専門的な知識が問われます。情報セキュリティおよびコンピュータネットワークに関する領域がメインですが、関連領域に該当するデータベース、開発技術、ITサービスマネジメントも試験範囲に含まれます。

  • 午後試験
試験時間 12:30~15:00(150分)
出題形式 記述式
出題数・解答数 出題数:4問
解答数:2問

情報セキュリティの技術面および運用・管理面を含む総合的な範囲で出題されます。

午後試験は複数の選択肢からなる問題と論文問題(レポート課題)で構成されており、論文問題では実務的なセキュリティ関連の課題に対する解決策や提案を記述する必要があります。午後試験では、情報処理安全確保支援士としての実践的な知識とスキルを評価します。

情報処理安全確保支援士試験は、セキュリティ分野での高度な専門知識とスキルを持つことを証明するための試験であり、合格には十分な準備と努力が必要です。

参照:情報処理安全確保支援士試験/独立行政法人情報処理推進機構

合格後の手続き:登録や定期的な更新が必要

情報処理安全確保支援士試験に合格した場合、合格者は一定の手続きを行う必要があります。まず、合格通知を受け取ったら、登録手続きを行い、情報処理安全確保支援士として登録されます。その後、定期的な更新手続きが必要となります。更新の際には、一定の条件を満たすことが求められますが、これによって資格の有効性が維持され、情報処理安全確保支援士としての活動が継続されます。登録や更新に関する詳細な手続きは、所属する機関や団体の指示に従う必要があります。

情報処理安全確保支援士試験の難易度~他の関連資格と比較して考察する~

情報処理安全確保支援士の難易度や目安の勉強時間などについて、類似資格と比較してみましょう。

資格試験 難易度ランク/偏差値 おもな試験内容 合格基準 合格率 勉強時間
情報処理安全確保支援士 A/67
  • 情報セキュリティ
  • リスク管理
  • セキュリティ技術
満点の60%以上 2023年:20.9%
2022年:20.2%
2021年:20.7%
目安:200~400時間
ITストラテジスト試験 S/71
  • IT戦略策定
  • プロジェクト管理
  • リスク管理
満点の60%以上 2023年:15.5%
2022年:14.8%
2021年:15.3%
目安:200~500時間
システム監査技術者試験 S/70
  • システム監査手法
  • リスク管理
  • コンプライアンス
満点の60%以上 2023年:16.4%
2022年:15.9%
2021年:16%
目安:190~480時間
プロジェクトマネージャ試験 S/69
  • プロジェクト管理
  • コミュニケーション
  • リスク管理
満点の60%以上 2023年:13.5%
2022年:14.1%
2021年:14.4%
目安:180~460時間
ITサービスマネージャ試験 A/68
  • ITサービスマネジメント
  • プロセス改善
  • リスク管理
満点の60%以上 2023年:15.2%
2022年:14.8%
2021年:15%
目安:170~440時間
システムアーキテクト試験 A/68
  • システム設計
  • アーキテクチャ設計
  • 性能評価
満点の60%以上 2023年:15.8%
2022年:15.0%
2021年:16.5%
目安:170~440時間
ネットワークスペシャリスト試験 A/67
  • ネットワーク技術
  • 設計
  • トラブルシューティング
満点の60%以上 2023年:14.3%
2022年:17.4%
2021年:12.8%
目安:160~420時間
データベーススペシャリスト試験 A/67
  • データベース設計
  • 運用、管理
  • 最適化
満点の60%以上 2023年:18.5%
2022年:17.6%
2021年:17.1%
目安:160~420時間
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 A/67
  • 組み込みシステム設計
  • ソフトウェア開発
  • ハードウェア設計
満点の60%以上 2023年:16.6%
2022年:19.7%
2021年:18.3%
目安:160~420時間

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験は高難易度であり、幅広いセキュリティ領域を網羅しています。試験内容は情報セキュリティの基礎から高度な技術までを包括し、セキュリティ基礎知識、技術、管理、運用などに関する問題が出題されます。

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験はかなり高難易度で、戦略的なIT計画やプロジェクト管理、ビジネス戦略との連携など高度なスキルが求められます。試験内容はIT戦略の策定、ビジネス価値の最大化、プロジェクト管理、リスク管理などに関する問題が出題され、網羅的な知識と実務経験が必要です。

システム監査技術者試験

システム監査技術者試験はかなり高難易度で、システムのプロセスや技術、リスク管理に関する知識が求められます。試験内容はシステム監査の手法、情報システムの評価、リスク管理、コンプライアンスなどに関する問題が出題され、幅広い監査知識と実務経験が必要です。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験はかなり高難易度で、プロジェクト管理、コミュニケーション、リスク管理などに関する知識が求められます。試験内容はプロジェクトの計画立案から実行、監視、終結までのプロセスやツール、技術に関する問題が出題され、実務経験と組み合わせた幅広い知識が必要です。

ITサービスマネージャ試験

ITサービスマネージャ試験は高難易度で、ITサービスマネジメント、プロセス改善、リスク管理などに関する知識が求められます。試験内容はITサービスの計画、設計、実装、運用、改善に関する問題が出題され、ITサービスのライフサイクル全体にわたる経験や知識が必要です。

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験は高難易度で、システム設計、アーキテクチャ設計、性能評価などに関する高度な知識が求められます。試験内容はシステムの構築や設計に関する問題が出題され、技術的な深い理解と幅広い経験が必要です。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は高難易度で、ネットワーク技術、設計、トラブルシューティングなどに関する知識が求められます。試験内容はネットワーク構築や設計、運用、トラブルなどに関する問題が出題され、実務経験とネットワーク技術に関する幅広い知識が必要です。

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は高難易度で、データベース設計、運用、管理、最適化などに関する知識が求められます。試験内容はデータベースの基本原則から高度なテクニカルスキルまでをカバーし、データベースシステムの構築や運用に関する問題が出題されます。実務経験とともに、データベース技術に関する幅広い理解が必要です。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は高難易度で、組み込みシステム設計、ソフトウェア開発、ハードウェア設計などに関する高度な知識が求められます。試験内容は組み込みシステムの基礎から高度な技術までを包括し、システムの設計や開発、テスト、デバッグに関する問題が出題されます。実務経験とともに、組み込みシステムに関する深い理解と幅広い知識が求められます。

情報処理安全確保支援士試験の難易度が高い理由

情報処理安全確保支援士は一般的に高難易度といわれている関連資格と比べても、遜色ないほど難易度が高い国家資格と言われています。難易度が高いとされる理由は、おもに下記の3つです。

高度な専門知識が必要

情報処理安全確保支援士試験では、暗号技術、リスク管理、セキュリティポリシーなど幅広い分野にわたる高度な専門知識が要求されます。暗号技術の理解やリスク管理能力、セキュリティポリシーの策定・運用に関する知識が重要です。これらの知識を身につけることで、情報セキュリティの専門家としての役割を果たすことが可能となります。

記述式試験に対する要求が高い

午後試験が記述式であるため、試験受験者には論理的な思考力や適切な表現力が求められます。適切な解答を記述するためには、理論や実務の知識だけでなく、問題解決能力も重要です。

幅広いトピックを網羅する必要がある

試験内容は、情報セキュリティに関する幅広いトピックをカバーしています。セキュリティポリシーから技術的な対策まで、多岐にわたる知識が必要とされます。そのため、試験受験者は幅広い分野の理解と深い知識を持つ必要があります。

独学で情報処理安全確保支援士試験の合格を目指すのは簡単ではない

情報処理安全確保支援士試験は、高度なセキュリティ知識と実務経験が求められる厳しい試験です。そのため、一般的には独学で目指すのは不可能ではないものの、簡単ではないと言われています。

必要な知識は応用情報技術者試験合格レベル

情報処理安全確保支援士試験は高度なセキュリティ知識と実務経験が求められ、応用情報技術者試験と同等以上の知識が必要です。独学で合格を目指す場合は、幅広い知識と深い理解が必要であり、十分な準備と時間を要します。

最低200時間以上の勉強時間が一般的

情報処理安全確保支援士試験は高度で幅広い専門知識が要求されるため、合格には十分な準備が必要です。一般的には200時間以上の勉強が必要とされますが、個人の学習ペースや背景によって異なります。しっかりと計画を立て、効果的な学習方法を用いることが重要です。

合格点は満点の60%以上が必要

情報処理安全確保支援士試験は高い合格基準が求められます。合格点は満点の60%以上であり、これを達成するためには十分な準備が必要です。独学での合格を目指す場合、試験範囲の理解や問題解決能力を高めるために継続的な学習と努力が不可欠です。独学で合格を目指す場合、幅広い分野の知識や技術を網羅するだけでなく、問題解決能力や応用力も求められます。

偏差値の目安は67程度

情報処理安全確保支援士試験は高い合格基準を誇り、その難易度は偏差値で示すと約67程度に達します。これは、受験者全体の中での相対的な位置付けを示す指標であり、合格には高い水準の理解力や対策力が求められます。独学で合格を目指す場合、この高い基準に達するためには十分な学習時間と努力が必要です。

実務経験の不足も試験難易度を高める

情報処理安全確保支援士試験の難易度は、高度な専門知識だけでなく、実務経験の不足も影響しています。セキュリティに関する実践的な経験がない場合、問題解決やシステム設計の能力を正確に評価することが難しくなります。したがって、合格を目指す受験者は、理論だけでなく実務での経験も積んでおくことが重要です。

情報処理安全確保支援士試験の合格ポイント

情報処理安全確保支援士の合格ポイントはおもに下記の4つになります。

午前I試験免除を活用する

情報処理安全確保支援士試験において、応用情報技術者試験や基本情報技術者試験合格者は、午前I試験を免除される特典があります。この特典を活用することで、午前試験にかかる負担を軽減し、合格に向けてより集中的に学習に取り組むことが可能です。免除された時間を有効活用し、午後試験の対策や理解を深めることで、合格の可能性を高めることができます。

過去問で出題傾向を把握する

情報処理安全確保支援士試験の過去問題を解くことは、合格に向けて重要な戦略です。過去の試験問題を解析することで、出題されるトピックや問題の形式、難易度などの傾向を把握することができます。これにより、重要なポイントや弱点を特定し、効率的な学習計画を立てることが可能です。過去問を解くことで自信をつけ、実際の試験に臨む準備を強化することができます。

午後試験対策も確実に

情報処理安全確保支援士試験の午後試験は、記述式であり、実務に即した問題解決能力を求められます。このため、合格を目指す受験者は、理論だけでなく実務経験を活かし、実践的なスキルを磨くことが必要です。具体的な事例やケーススタディを通じて、問題解決の手法やアプローチを理解し、実践的な問題に対処する能力を高めることが合格への鍵となります。徹底した対策を行い、試験当日に臨む準備を確実に行いましょう。

受験指導校に通う

情報処理安全確保支援士試験の合格を目指す受験者は、受験指導校の利用を検討することが有益です。受験指導校では、経験豊富な講師からの指導や模擬試験を受けることができます。さらに、合格に向けた効果的な学習計画や戦略を提供してくれるため、合格率向上に貢献します。また、同じ目標を持つ受験者との交流や情報共有も受験指導校の魅力の一つです。受験指導校での学習を通じて、合格への道筋をしっかりと築きましょう。

難易度は高い!ポイントを押さえてから情報処理安全確保支援士試験の合格を目指そう!

他の資格と比較したり、試験内容や合格率から考察しても、情報処理安全確保支援士の資格取得は難易度が高いことが分かります。実務経験がないと理解が深まらない分野も試験範囲に含まれており、独学で合格を目指すには更に努力が求められます。合格ポイントをしっかりと抑えた上で、対策に臨みましょう!

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