情報処理安全確保支援士のメリットやデメリットを解説!取得前におさえておこう!


情報処理安全確保支援士とは

情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)は、IPA(情報処理推進機構)が認定する、セキュリティの国家資格です。

士業として認められる国家資格

情報処理安全確保支援士は、情報処理の安全性を確保するための専門家として、国家資格として認められています。この資格は、情報セキュリティに関する高度な知識や
スキルを持ち、組織や企業における情報セキュリティ管理を担当する人材を育成することを目的としています。

試験の概要・難易度

情報処理安全確保支援士の試験概要は下記になります。

  • 試験形式
    筆記試験及び実技試験から構成される
  • 試験範囲
    全分野にわたるのが特徴。情報セキュリティに関する基礎知識、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・運用・監査に関する知識、法令・規制に関する理解、セキュリティ技術など
  • 試験時間
    午前と午後でトータル4時間

また、難易度は一般的に高いと言われています。情報セキュリティ分野に関する高度な知識や技術、法令・規制に関する理解を要求されるのが特徴です。試験の合格率は一般的に20%前後が平均と低く、合格のために十分は勉強と準備が必要です。試験範囲が広範囲にわたるため、受験者は情報セキュリティに関する幅広い知識とスキルを習得する必要があります。

情報処理安全確保支援士のメリット

情報処理安全確保支援士の称号を使用できる

情報処理安全確保支援士の称号は、情報セキュリティに関する高度な知識とスキルを持つことを証明するものです。この称号を使用することで、専門性と信頼性の証明ができ、キャリアの発展につなげることができます。特に、書類上で示せるため、昇進や新しい職務への挑戦、転職などの機会が増える可能性があります。

セキュリティ専門家として活動が可能

情報処理安全確保支援士の資格を持つことで、セキュリティ分野での専門家として活動することが可能になります。企業に所属しなくても、フリーランスで活躍されている専門家もいます。具体的な活動内容は、以下が挙げられ、案件単位で受けている事例もあります。

  1. 情報セキュリティポリシーの策定
    組織や企業の情報セキュリティポリシーを策定する際に、情報処理安全確保支援士は専門知識や経験を活かして、適切なポリシーの策定や改善をスムーズに行うことができます。
  2. セキュリティ監査の実施
    情報処理安全確保支援士は、組織やシステムのセキュリティ監査を実施し、セキュリティ上の脆弱性やリスクを評価します。試験合格で求められた、テクノロジ系だけでなくマネジメント、ストラテジ系の全体知識が活かされます。これにより、セキュリティレベルの向上や問題の早期発見が可能となります。
  3. セキュリティ対策の提案と実装
    情報処理安全確保支援士は、セキュリティに関する問題や改善点を特定し、適切な対策やソリューションを提案します。また、これらの対策の実装や導入を支援します。ここでも、セキュリティの専門知識だけではなく、マネジメントで必要なコミュニケーションスキルも同時に求められます。
  4. セキュリティ教育トレーニング
    セキュリティ意識の向上や従業員の教育を促進するために、情報処理安全確保支援士はセキュリティ教育やトレーニングプログラムを設計し、実施します。情報セキュリティに関する高度な知識とスキルを持っている専門家が行うセキュリティ教育やトレーニングは専門性が高く、価値を高められます。専門性の高さだけでなく、最新のセキュリティトレンドやベストプラクティスにも精通しているため、より有益な情報の提供が可能です。
  5. インシデント対応とリカバリー
    セキュリティインシデントが発生した際には、情報処理安全確保支援士が迅速かつ適切な対応を行い、被害の最小化やシステムのリカバリーを支援します。情報処理安全確保支援士の資格で得た知見は、適切なプロセスと手順を確立し、組織や企業がインシデントに対応するための適切なフレームワークやガイドラインを提供するのに役立てることができます。また法的要件と規制に関する責任を果たすため、インシデント報告やデータの復旧、顧客や当局への通知などの手続きも同時に遵守します。こうしたプロセスにより、チームが効果的に行動することを支援できます。

企業から高い信頼を受ける

情報処理安全確保支援士の資格は、厳格な試験をクリアしたことを証明し、専門的な知識とスキルを持つことを示します。そのため、企業は彼らを信頼し、セキュリティ関連の任務やプロジェクトに積極的に関わらせます。

セキュリティ専門家のネットワークが広がる

情報処理安全確保支援士は、セキュリティ分野で活躍する専門家のネットワークにアクセスできます。これにより、情報交換や共同プロジェクトの機会が増え、さらなる専門知識の獲得やキャリアの発展が促進されます。

情報セキュリティ分野でのキャリアチャンスが増える

情報処理安全確保支援士の資格を持つことで、セキュリティ分野でのキャリアチャンスが大幅に増えます。彼らはセキュリティアナリスト、セキュリティコンサルタント、セキュリティマネージャーなど、さまざまなポジションで活躍することができます。

デジタル変革(DX)における需要が増している

情報処理安全確保支援士は、デジタル変革に伴うセキュリティ課題の増加に対応するニーズが高まっています。DXの進展により、情報セキュリティの重要性が増し、情報処理安全確保支援士の専門知識とスキルがますます求められています。

専門知識の基盤となる

情報処理安全確保支援士の資格を取得することで、情報セキュリティに関する幅広い専門知識の基盤を築くことができます。この資格は、セキュリティ分野における専門家としての信頼性を高め、キャリアの発展やビジネスチャンスの拡大に貢献します。

最新情報を学ぶ機会が提供される

情報処理安全確保支援士は、定期的な講習や研修を通じて最新の情報を学ぶ機会が与えられます。セキュリティ技術や脅威の進化に常に対応する必要があるため、情報処理安全確保支援士は常に最新のトレンドやベストプラクティスに精通していることが求められます。

他の資格試験の免除制度が適用できる

情報処理安全確保支援士の資格を取得することで、他の関連する資格試験の免除制度が適用されることがあります。これは、情報処理安全確保支援士の資格が、高度な情報セキュリティの知識とスキルを持つことを証明しており、他の関連する資格試験の必要条件を満たしているをみなされるからです。

下記は、対象資格や免除の条件をまとめた一覧表になります。

免除制度が受けられる関連資格 免除対象箇所 免除の条件
弁理士試験 理工Ⅴ(情報) 情報処理安全確保支援士試験の合格証書の交付を受けている者
技術士試験 専門科目(情報工学部門) 情報処理技術者試験の高度試験及び情報処理安全確保支援士合格者
ITコーディネータ(ITC)試験 専門スキル特別認定試験の受験が可能(ITC試験の一部が免除される) 高度試験、情報処理安全確保支援士試験又はiパス(ITパスポート試験)750点以上の合格
ITストラテジスト試験 午前Ⅰ試験 ①応用情報技術者試験(AP)に合格
②情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
③情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
システムアーキテクト試験
ネットワークスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験
プロジェクトマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験
システム監査技術者試験

※当コラム作成時の調査結果になります。最新の情報、詳細は、各試験のホームページ等でご確認ください。

参考:試験のメリット/情報処理推進機構

参考:午前Ⅰ試験免除 情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験/情報処理推進機構

企業からの信頼度が増える

資格保持は、企業からの信頼を高めます。情報処理安全確保支援士資格は、厳しい試験を通過したことを証明し、情報セキュリティ分野での専門知識をスキルを持っていることを示します。企業は、信頼できるセキュリティ専門家として情報処理安全確保支援士を採用することで、データやシステムの保護における信頼度が高まります。また、社内での情報処理安全確保支援士の存在は、顧客や取引先に対しても企業の情報セキュリティへの取り組みや信頼性をアピールする手段となります。

情報処理安全確保支援士を取得するデメリット

業務独占資格ではない

情報処理安全確保支援士の資格は、業務独占資格ではないため、資格を持つことだけでは特定の業務を独占することはできません。そのため、他のセキュリティ関連の資格を同様に、市場での競争が激化する可能性があります。また、資格取得にかかる費用や労力が多い一方で、取得後の利益や就業機会が保証されないことも考慮する必要があります。

資格維持のための費用が高い

情報処理安全確保支援士の資格を取得した後も、定期的な更新と維持が必要です。1年に1回のオンライン講習(2万円)と、3年に1回の実践講習または特定講習(8万円)の受講が必須になるため、3年毎に合計14万円を支払う必要があることになります。

この金額は、他の資格と比較しても高いことが分かります。

法律で規定された罰則がある

情報処理安全確保支援士として活動する際には、法律の中での「信用失墜行為の禁止」「秘密保持義務」「受講義務」について忠実義務があります。特に秘密保守義務については罰則規定も設けられております。

(信用失墜行為の禁止)
第二十四条 情報処理安全確保支援士は、情報処理安全確保支援士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

(秘密保持義務)
第二十五条 情報処理安全確保支援士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。情報処理安全確保支援士でなくなつた後においても、同様とする。

(受講義務)
第二十六条 情報処理安全確保支援士は、経済産業省令で定めるところにより、機構の行うサイバーセキュリティに関する講習(第二十八条において「機構の講習」という。)又はこれと同等以上の効果を有すると認められる講習として経済産業省令で定めるもの(同条において「特定講習」という。)を受けなければならない。

第五章 罰則
第五十九条 第二十五条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

このため、情報処理安全確保支援士としての行動には慎重さが求められ、適切な対策や手続きの確立が不可欠です。また、このような法的責任を負うことが、資格取得のデメリットとして考えられます。

参考:情報処理の促進に関する法律/ e-Gov法令検索

海外では活用しにくい

情報処理安全確保支援士の資格は、国内での情報セキュリティ分野における信頼性が高く認められていますが、海外ではその認知度が低い場合があります。海外企業や機関においては、情報処理安全確保支援士の資格やそのスキルセットに対する理解や需要が限られているため、活用しにくい状況があります。このため、海外でのキャリアチャンスを掴みたい場合には、他の国際的に認知されたセキュリティ資格の取得が求められる場合があります。

こんな人には特にメリットがたくさん!

セキュリティ専門家

情報処理安全確保支援士の資格は、所持するセキュリティ専門家の信頼性が高く専門知識があることを示すため、キャリアの展望を広げます。さらに、業務の多様化プロジェクトへの参加の機会が増え、セキュリティ関連の仕事において有利な立場を築くことができます。

情報セキュリティマネージャー

情報セキュリティマネージャーにとって、情報処理安全確保支援士の資格を持つことは大きなメリットがあります。セキュリティ専門家と同様、信頼性を高められ、組織内の影響力を強化します。さらに、情報処理安全確保支援士の資格を持つことで、セキュリティポリシーの策定や実装、リスク管理、監査などの業務において、高度な専門知識をスキルを持つことが証明されます。これにより、組織内でのリーダーシップを更に発揮し、情報セキュリティ先着の立案や実行において中心的な役割を果たせるようになります。

監査者とコンプライアンス担当者

監査者、コンプライアンス担当者にとっての情報処理安全確保支援士資格を持つ最大の意味は、組織全体のセキュリティとコンプライアンスのレベルを高められることです。この資格は、セキュリティ関連の法令や規制に関する知識と理解を示し、監査やコンプライアンスの実行能力を高めます。さらに、情報処理安全確保支援士の資格を持つことで、セキュリティポリシーの策定や実装、リスク管理のプロセスにおいて、より専門的なアドバイスや指導を提供することができます。これによって、組織での信頼性向上と、監査やコンプライアンス活動の効果的な推進に貢献することができます。

情報セキュリティ教育者

情報処理安全確保支援士の資格を持つことで、情報セキュリティ教育者は信頼性を高めたうえで、質の高いセキュリティ教育プログラムを提供することができます。資格を持つことで教育者は最新のセキュリティトレンドやテクノロジーに関する知識の更新が求められるため、自然と学習者に対しても最新の情報とベストプラクティスを提供し、彼らのセキュリティ意識を高めることができます。最終的には、情報処理安全確保支援士の資格を持つことで、教育者はセキュリティ教育の品質と効果を向上させ、学習者が現実世界でのセキュリティの課題に適切に対処できるようサポートすることが期待できます。

経営層と組織リーダー

経営層や組織リーダーにとっても、情報処理安全確保支援士資格はセキュリティに関する高度な知識と専門性を持っていることを証明するのに十分有効です。資格を持つことで、経営層リーダーは組織内でのセキュリティ戦略の立案や実行においてリーダーシップを発揮することができます。組織全体のセキュリティ意識を高め、リスクを最小限に抑えるための戦略を策定することができるため、経営層やリーダーがセキュリティ関連の問題に対処し、組織の信頼を高めるのに役立ちます。最終的に、この資格を持つことで経営層やリーダーは、組織全体の情報セキュリティレベルを向上させることが期待されます。

新たなキャリアパスを模索する人

情報処理安全確保支援士の資格は、セキュリティ分野での専門知識とスキルを証明するものであり、セキュリティ関連の職権への就職やキャリアチェンジを支援します。情報処理安全確保支援士の資格を持つことで、セキュリティコンサルタント、セキュリティアナリスト、セキュリティエンジニアなどの職種への転職が容易になります。更に、この資格はセキュリティ分野でのキャリアの成長を促進し、給与の向上や職務への充実も期待されます。最終的には、この資格を持つことは新たなキャリアパスを模索する人にとって、セキュリティ分野での成功に繋げ、自己成長やキャリアの発展を実現する点で大きなメリットがあります。

情報処理安全確保支援士を取得する方法 / 合格を目指した勉強のポイント

情報処理安全確保支援士はメリットが多方面にわたる代わりに、難易度の高い国家資格の試験になります。合格を目指している方は下記コラムも参考にしてみてください。

情報処理安全確保支援士試験の難易度と対策法!合格の秘訣とは?

登録セキスぺ制度活用のメリット

情報処理安全確保支援士になるためにはIPAへ登録を申請する必要があります。試験に合格して資格を取得した後、登録セキスぺに登録することで、正式に「情報処理安全確保支援士」を名乗ることができます。ここでは、セキスぺに登録するメリットについて解説していきます。

資格認定の信頼性向上

登録セキスぺ制度を活用することで、情報処理安全確保支援士の資格認定の信頼性が向上します。登録セキスぺとして認定されることで、個々の専門家が高水準の専門知識とスキルを有することが証明され、業界内での評価が向上します。この信頼性向上は、組織やクライアントからの信頼を高め、セキュリティ関連のプロジェクトや仕事においてより信頼性の高いリーダーシップを発揮することにつながります。

継続的な教育とスキル向上

登録セキスぺ制度を活用することで、継続的な教育とスキル向上が可能となります。登録セキスぺとしての認定を維持するためには、定期的な教育プログラムへの参加が必要とされます。これにより、最新のセキュリティトレンドや技術に対する理解が深まり、専門知識が常に最新の状態に保たれます。また、登録セキスぺ制度は、専門家がスキルを継続的に向上させる機会を提供することで、彼らが常に業界のリーダーシップの一翼を担えるようサポートします。

セキュリティコミュニティへの参加

登録セキスぺ制度を活用することで、セキュリティコミュニティへの参加が促進されます。登録セキスぺとして認定されることで、セキュリティ専門家が業界内のコミュニティにアクセスし、他の専門家とのネットワーキングや知識共有が可能となります。セキュリティコミュニティへの参加は、専門家が最新のセキュリティトレンドやベストプラクティスを学び、業界全体の発展に貢献する機会を提供します。また、他の専門家との交流を通じて、新たなアイデアや解決策を得ることができ、自身のスキルや知識の向上にもつながります。

法的要件への対応

登録セキスぺ制度を活用することで、法的要件への対応が容易になります。登録セキスぺとしての認定は、専門家が業界標準に準拠していることを示す重要な手段です。多くの場合、法的規制や規制要件は、セキュリティ専門家に対して特定の資格や認定を要求します。登録セキスぺ制度に参加することで、専門家は法的要件を満たし、規制に適合することができます。これにより、組織やクライアントは法的なリスクを最小限に抑えることができ、セキュリティに関する法的な問題や責任を回避することができます。

職業機会の拡大

登録セキスぺ制度を活用することで、セキュリティ関連の職業機会が拡大します。登録セキスぺとして認定されることは、専門家の信頼性と専門知識の高さを証明するものです。そのため、セキュリティ業界では登録セキスぺの需要が高まります。登録セキスぺとして認定された専門家は、より幅広い職場で求められる傾向にあります。組織や企業は、セキュリティ専門家としての登録があることで、信頼性の高いプロフェッショナルとして専門知識を持っていると認識し、採用や昇進の機会を提供する可能性が高まります。登録セキスぺ制度の活用は、専門家のキャリアパスを拡大し、新たな職業機会を開拓するための有力な手段となります。

まとめ:情報処理安全確保支援士のメリットを押さえて今後のキャリアに活用させよう

情報処理安全確保支援士の資格を活用することで、信頼性の獲得やキャリアチェンジのチャンスまで、キャリア関してに大きなメリットがあります。維持費が高いなどの難点もありますが、今後のキャリアを見据えた上で、本格的にセキュリティ分野を極めたいかたは、ぜひこの資格制度を活用しましょう!

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